garamanのマジック研究室

ボリス・ワイルド Transparency

ボリス・ワイルドと言えば、ボリス・ワイルド・マークドデックが有名ですが、そのトリック・デックの個性を活かした作品集です。つまり、ひとつのトリックデックだけに特化した作品集という、前代未聞のマニアック度で刊行された本です。このデックの特徴は、何と言っても視認性の高さ。バレやすいという人もいるようですが、U.S. Playing 社が Bicycle として正式に印刷して販売していますので、セロハンを剥がして新品のデックとして取り出せるわけです。しかも良く見るデザインですから、そもそも疑われる可能性が低いです。少し残念なのは、2017年2月現在ではライダーバックのデザインでは販売されておらず、メイデンバックしか入手できないことでしょうか。何れにしても、視認性が高いことに変わりはなく、ある一枚のカードを探すなら、表向きよりも裏向きにスプレッドした方が早く見つけられます。

そんなデックを使った作品が、25作品解説されています。似たような現象をすでに知っているマジシャンでも、これを使われると追えなくなるというような、一歩進んだ現象の作品が多数収録されています。また、このデックを必要としない作品を演じる時でも、このデックを使っておけば、いざという時のアウトとしても使える心強い味方になることでしょう。正直なところ、デックの宣伝も兼ねた本かと思いながら読み始めたのですが、有益なアドバイスも多く、勉強になる本です。

Boris Wild
富山 達也(訳)
東京堂出版

レビュー

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