garamanのマジック研究室

コインがあやなす奇譚な物語

ルイス・ピエドライタによる著作です。コインマジックを一段階高めたスペインのマジシャンです。この評価は決して大げさではありません。コインマジックの名手たちも軒並みそう語るのです。コインマジックはどうしてもテクニックを見せつけてしまうような演出になりがちで、表現の幅もあまり広げられないものという認識が根強くありました。カードがあらゆる現象を起こせるのに対して、コインマジックの主な現象は出現・消失・変化くらいです。そのため、出現や消失のさせ方を派手にしてみたり、不可能状況を作り出してから変化させるなどの工夫が多かったのです。そこに現れたのがルイス・ピエドライタでした。放送作家としてテレビ番組を制作し、自身が監督兼マジシャンとして参加するという離れ技を見せました。ゲストとして招く著名人たちに囲まれながらオリジナリティー溢れる作品を次々と発表してきました。それらの映像はネットで彼の名前を検索すればすぐに見つけられるでしょう。

コインはただの器。そこに金銭的価値を加えれば通貨になるし、物語を加えれば財宝になる。ルイス・ピエドライタは、まさに物語を溶け込ませ、財宝のようなマジックを見せてくれるのです。この本には、そんな財宝に昇華したコインマジックが10作品解説されています。

ただ「奇譚」が「奇妙な物語」という意味だから、「奇譚な物語」というタイトルは。。。

ルイス・ピエドライタ
宗像 寿祥 (訳)
スクリプトマヌーヴァ

レビュー

コインズ・スルー・ザ・テーブル COINS THROUGH THE TABLE
プチプチ・マトリックス COINS COINS BUBBLE WRAP