garamanのマジック研究室

魔術師の物語

サンフランシスコの、とある街角に佇む少年たちにカメラを向ける一人の女性、ケイ・ファロウ。写真家でありながら色彩を判別できない全色盲の彼女が撮る写真には、霧深いサンフランシスコの影が見事に写し出されている。中性的な魅力を備えた男娼ティムの影のある姿を写真に収めているうちに、徐々に親しくなっていくケイ。しかし、事態は急変。15年前に発生した猟奇殺人と同じ手口で、ティムは惨殺されてしまう。15年前の事件は、当時警官だったケイの父親を辞職に追い込むきっかけにもなった。不思議な因縁を感じながらも、ティムの無念を晴らすために調査に乗り出したケイ。ティムの双子の姉の存在に心乱され、双子を育てたマジシャンの存在に翻弄されながら、この事件の闇に深く関わっていく。15年前の事件について何かを隠している父親との間にも、微妙な距離が生まれてくるなか、ケイは、真相へと近づいていく。

著者については、デビッド・ハントというペンネームよりも、ウィリアム・ベイヤーの名前の方が有名かもしれません。「キラー・バード、急襲」や「すげ替えられた首」などの、心理サスペンスやミステリーの分野で活躍している作家です。

David Hunt
高野 裕美子(訳)
新潮文庫

レビュー

なし