garamanのマジック研究室

しあわせの書

「未読の人にしあわせの書の秘密を明かさないでください」と前置きしてから始まる小説。そう、小説なのです。マジックショップではなく一般の書店に新潮文庫の一冊としてさりげなく並んでいます。この小説の中で最も重要なアイテムになるのが、驚くべきトリックを仕掛けた本「しあわせの書」なのですが、読み進むうちにそのトリックの全容が掴めてきます。そして、最後に気が付くのです。自分が読んでいる小説のタイトルも「しあわせの書」である事に。。。 「しあわせの書」に施された著者の強烈な思惑をここで紹介する事は出来ませんが、小説の中で行われる「しあわせの書」を使ったトリックが、あなたにもできるという事です。著者は石田天海賞を受賞したマジシャンです。ですからそのトリックの質の高さは保証付です。かといって、小説としての読み応えに不安を覚える事はありません。なぜなら著者は石田天海賞を受賞したマジシャンであると同時に、直木賞の受賞経験を持つ作家なのですから。さらには、日本推理作家協会賞も受賞されています。(にも関わらず、本職は紋章上絵師だそうですが。。。)

丸一年を費やした力作「しあわせの書」。こころおきなく、浸ってください。

泡坂 妻夫
新潮文庫

レビュー

なし