garamanのマジック研究室

Back Off

マジシャンは4枚のカードを取り出します。4枚とも、両面が裏模様の奇妙なカードです。ミスプリントで、数字が描かれている側にも裏模様が印刷されしまったようです。

そのうちの1枚を観客に確認してもらいますが、確かに両面が裏模様のようです。ところが確認済みの1枚をマジシャンが受け取ると、一瞬で片面に数字が現れます。残りの3枚も次々と表の数字を取り戻し、普通の4枚のカードに戻っていきます。

ダーウィン・オーティスの名作です。


ある有名なミスプリント
〜 Back Off Again 〜

舶来 カード奇術 あ・ら・カルト
p.23

荒木一郎氏の改案です。現象は Darwin Ortiz の原案そのものですが、途中いくつか簡単に出来るように工夫がされています。また、原案では4枚のカードが封筒に入った状態でポケットから取り出して演技を始めるというパケット・トリックの形態をとっていますが、荒木氏の手順では一組のデックから4枚のカードを取り出して始められるように工夫されています。この工夫が、演技の終わり方をさらに容易にしてくれます。

演技時間はさほど長くないにも関わらず、11ページの充実した解説です。また、26枚もの写真が添えられていますので、理解に苦しむところはないでしょう。

元々が連続でテクニックを駆使していく作品ですので、荒木氏が多少難易度を下げるような工夫をされたとはいえ、やはり比較的難しい作品です。もちろん手順を真似ることはすぐに出来ますが、ギルティーな動作を残さないところまで身につけるには、時間を要するでしょう。あまり演じられるところを見かけないのは、そういうところに起因するのかもしれません。(2011.12.18)