garamanのマジック研究室

Three Card Monte

一枚のスペードのQと二枚のA。この3枚のカードだけで演じるマジックです。元々はストリート・コン・ゲーム(街頭詐欺)で、道行く観客に三枚のうち一枚に賭けてもらい、そのカードが当たりなら観客の勝ち、ハズレならディーラーの勝ちという単純なゲームです。単純なゲームとは言え、詐欺ですから観客が勝つ事は絶対にありませんが。。。

スペードのQが当たりのカードで、他の二枚のAをハズレとして用いる事が多いようです。現象は至ってシンプル。三枚のカードの表をよく見せて、当たりのカードの位置を良く覚えてもらいます。三枚のカードを両手に持ち、一枚ずつ裏向きにテーブルに置いていきます。テーブルに並べた三枚のカードを何度かゆっくりと入れ替え、観客にはあたりのカードの位置を目で追ってもらいます。明らかに当たりと思われるカードを指差してもらいますが、そのカードの表を確認すると、ハズレのAのカードになっています。何度やっても当たりのスペードのQを当てる事はできません。。。


スリー・カード・モンテ

あそびの冒険 全5巻
「3 ギャンブルのトリック」p.151

日本語で読めるスリー・カード・モンテの解説としては最も判りやすいと思います。基本的なテクニックを9枚のイラストつきで、7ページにわたって解説しています。基本テクニックだけでも練習次第では充分に通用するエンターテイメントになります。また、この本で特筆するべきは、トリックの解説以外にその歴史的な背景や演出上の注意点などに5ページを割いていることにあります。18世紀の終わりに発明されてから現在に至るまで、このイカサマ賭博は延々と続けられています。(2007.03.25)

スリー・カード・モンテ
〜 つかまらぬジャックの改案 〜

トリック・カード事典
p.172

松田道弘氏がアレンジした手順が、5ページにわたって解説されています。改案元はデビッド・オシップの「Illusive Jack」で、一部「Devil's Monte」のアイディアを流用しているようです。5枚のイラストを駆使して、準備と2つの基本技法を解説しています。本のタイトルからも判るとおり、トリック・カードを使ったマジックですので、このマジック特有の技法になります。実際のマジックの手順としては2段構成からなり、2ページに簡単にまとめてあります。手順解説にイラストはありませんが、基本技法の解説で図示されているので、習得に問題はないでしょう。(2007.03.25)

スリーカードモンテ

泡坂妻夫 マジックの世界
p.54

ジャンボカードを使った泡坂妻夫氏の個性的な作品です。ジャンボ・カードを使う時点でスリー・カード・モンテに使われる一般的な技法は使えなくなりますから、必然的にオリジナリティーの高い作品になっています。1966年の作品との事ですが、今でも新鮮な印象を受ける作品に仕上がっています。作成当時はダイヤのクイーンやAのデザインはもちろん、バックのデザインまで自分で書いたそうです。さすが紋章絵付師といったところでしょうか。

ルーティーンの流れを簡単に紹介します。まず表向きに3枚のカードを見せ、全体を裏向きにしたところでAの位置を当ててもらいますが、当たりません。3枚の配置を変えてもう一度同じ事を繰り返しますが、やはり当たりません。最後にはクイーンの方を当ててもらいます。これなら3枚中2枚がクイーンですから当たりやすいはずですが、それでも当てられません。でもコレには理由があります。3枚のカードがいつの間にか全てAに変わっているのです。。。

と、この手順をみて「ありがち」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、「ジャンボカード」で行なうわけですから、そう簡単にはいきません。氏の柔軟な発想が生み出した面白いからくりに、ぜひ触れてみてください。そして自作してみてください。

この本の全体的な構成でもあるのですが、見開きで左ページに解説があり、右ページにはイラストがいくつか描かれています。10ページにわたって22枚のイラストを添えて詳しく解説されています。(2007.06.02)

スリー・カード・モンテ

カードマジック事典
p.313

ダイ・バーノンが演じていたスリー・カード・モンテ手順を、高木重朗氏が簡潔に解説しています。基本的にはダイ・バーノンの手順ですが、所々に高木氏の細やかな気配りが見られます。

3ページの解説文で6枚のイラストを添えています。一見、解説が短そうな印象ですが、この本はあくまでも事典として編集されていますので、殆どの作品が短く簡潔に解説されています。これでも比較的長い方です。作品の特徴として、つい挑戦的になりがちな部分がありますが、そのあたりが台詞によって自然に解決されています。(2008.03.30)

スリーカードモンテ

プロがあかすカードマジック・テクニック
p.122

スリーカードモンテが街頭詐欺としてメジャーな存在だった当時、ディーラー側の立場で暗躍していた人物が、その秘密を本に書いて発表するなどという事が信じられるでしょうか?今でこそ街頭での詐欺行為は厳しく取り締まられていますので、そのテクニックは娯楽の世界で生きつづけている訳ですが、当時の詐欺師たちにとっては生活を守る職業上の秘密だったはずです。職業詐欺師であると同時にアマチュアマジシャンでもあったアードネスだからこそ、そんなおかしな事が起きたのです。

この本の構成は、前半がカードゲームにおけるイカサマ手法で、後半がカードマジックの解説という奇妙な作りになっていますが、スリーカードモンテは、カードマジックの解説ではなくイカサマの手法として前半の最後に解説されています。やはり趣味としてのテクニックではなく、本格的に人から金銭を騙し取るのが目的だったようです。ダイ・バーノンがマジックとして発表した手順も、殆ど原型から変化がありません。そっくりそのまま詐欺として通用するでしょう。取り扱いは要注意ですが、非常にインパクトの強い作品です。

5ページにわたって解説されていますが、イラストはたったの1枚です。誰かの実演を見た事があればイメージがつかめるかも知れませんが、この本だけで習得するのは難しいでしょう。肝心なテクニックが全て文章だけで解説されていますので。といっても、この本を手にしている人は既に相当なマニアでしょうから、そんな心配は要らないのかもしれませんが。(2009.01.11)

ダッチ・ルーパーの手順構成

魅惑のトリックカード・マジック
p.39

ダッチ・ルーパー(Dutch Looper)とは、特徴的なギミック・カードを一枚使用した、スリー・カード・モンテ商品の通称だそうです。古くからあるロングセラー商品で、アメリカではイングリッシュ・スリー・カード・モンテと呼ばれることもあるようです。

この本では、ダッチ・ルーパー方式のギミック・カードを用いた、いくつかの手法をつなぎ合わせてひとつの作品として構成していますが、松田氏のオリジナルは特に含まれていないそうです。市販されていた商品だけに、簡単な手順で現象を起こせるようにはなっていますが、そこへプロ・アマ問わず多くのマジシャンが手を入れて、技法を組み合わせた手順を発表しているようです。ギミック・カードを使った作品では、最後に改めができるように、ギミック・カードとレギュラー・カードを何とかしてスイッチできないものかと考えがちですが、松田氏も結局は余計な事はしない方が賢明だというところに落ち着いたそうです。(と言いつつ、そういうアイディアもしっかりと解説されています)

手順自体は6ページほどに12枚のイラストを添えて解説されています。理解は容易でしょう。手順解説の前には、2ページほどを割いてスリー・カード・モンテの歴史的背景を辿りつつ、ギミック・カードを用いた他の作品が紹介されています。また、手順解説の後には、1ページほどの参考文献が並んでいます。充実の解説です。(2010.04.18)

スリー カード モンテ

<復刻版> トランプの不思議
p.103

基本的な手順について、高木重朗氏がこれ以上ない程明快に解説されています。

同じ高木重朗氏の解説でも「カードマジック事典」のそれとは違い、もっと基本的な手順が解説されています。「カードマジック事典」でマスターできなかった方には、まずこちらの手順をしっかりと練習するのが良いかもしれません。カードも持ち方からイラスト入りで懇切丁寧に解説されています。その後、基本技法について解説したうえで、手順の説明に入るという書き方です。各手順では、高木氏の経験から生まれた細かなアドバイスが散りばめられていて、既に出来ているつもりでも気づかされる事があります。

基本的な手順だけであるにも関わらず、5ページにわたって10枚のイラストで解説されています。本当に初心者に身につけてもらいたい、という著者の強い思いが伝わってくるようです。(2011.12.31)

Three Card Monte

RHAPSODIES IN SILVER AND OTHER MYSTERIES
Disk2/Chapter4&13

ほぼダイ・バーノンの手順です。見せ方には若干の工夫が見られますが、カードマジック事典に掲載されているバーノンの手順を、動画で見ているような印象です。

このDVDは、他の作品も続けて演じ、最後にまとめて解説するという構成ですので、ちょっと離れたチャプターで解説されています。なお、基本的な技術の解説はありますが、コーナーを曲げた状態で行う手順については解説が省かれています。文章の解説はカードマジック事典にありますので、そちらを参照してください。

全体の流れがちょっと早いかなとも感じますが、その分観客とのコミュニケーションを通して状況把握しやすいように配慮しているようです。おそらく口数少なくこの作品を演じると、何が起こっているのか理解してもらえないでしょう。(2012.09.02)