ミスター・ジェニングス テイク・イット・イージー 1
リチャード・カウフマンの手によるラリージェンニングスの本です。この本には長い物語があります。
1983年、リチャード・カウフマンとラリー・ジェニングスが、マジック・キャッスルのメイン・バーで初めて会いました。この日からの1週間で二人による共著プロジェクトが始まったそうです。しかしカウフマンの都合により具体的に進めることができず、ようやく再開したのが1991年。当初、ラリー・ジェニングス自身が関わったことで、収録する内容やその解説の順番まで拘った、首尾一貫した教科書になっています。ところがその完成を見ることなく、当のラリー・ジェニングス氏が1997年に亡くなります。内容と順番が決まっていても、作品の魅力を伝える現象の説明文や、解説文自体のブラッシュアップ、写真の撮影など仕事は山積みです。もはや、カウフマン一人でこなすには荷が重い状況になっていたことでしょう。
しかし、この作品を世に生み出すために協力を惜しまないマジシャンたちが大勢いました。日本だけで発表されたジェニングスの作品を翻訳してくれた人や、作品のクレッジ情報を添えることに協力してくれた多くのマジシャンたち、さらには50近い作品の現象解説文を書き上げると申し出た人、そしてラスベガスで1週間をかけて解説に添える写真を撮影をした人。多くのマジシャンの協力を受けて、この本は完成へと進んでいきます。
そんな中で起きた COVID-19 の世界的流行。多くのマジシャンがパフォーマンスの場を奪われ、苦労を強いられた期間でしたが、皮肉にもカウフマンにとっては机に向かうまとまった時間を確保できるイベントでした。そしてようやくまとめあげたのが2020年。大量に印刷された本はコンテナに積まれ、中国からアメリカに向けて旅立っていきました。めでたしめでたしといきたいところですが、ハワイ沖で大嵐に見舞われコンテナは沈んでしまったそうです。その4ヶ月後、年を跨いだ2020年3月、ようやく世界中のマジシャンの手に渡しました。実に37年に及ぶ長い物語です。
さらにのそ3年後、角矢幸繁氏が翻訳してくださったおかげで、日本語で読むことができるようになりました。なお、翻訳の際に2冊に別れており、そのうちの1冊目が2023年に出版されたこの本です。本の内容については2冊目の紹介ページで。
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