garamanのマジック研究室

天才マジシャン原大樹 世界への挑戦
Make Believe

2011年にアメリカで作成されたドキュメンタリー映画です。2009年にラスベガスで開催されたワールド・マジック・セミナー・ティーンズ・コンテスト」に挑戦するべく、各国から集まった若いマジシャンたちの熱い戦いが綴られています。世界中からパフォーマンス・ビデオを募集し、審査を通った限られた才能の持ち主たちだけが、コンテストに出場できます。コンテストでは審査員や観客の前で精一杯の演技を披露しますが、独特なのはその審査方法。審査員たちは受賞候補を数人に絞り込む事までしかしません。その候補たちの中から順位を決めるのは観客の投票に委ねられます。プロの目だけでなく、一般の観客の目も納得させる演技をした人が優勝できる仕組みです。その大会で優勝したのがタイトルにも名前が出ている「原大樹」さんです。この大会では山上兄弟の2人も3位に入っています。日本やアジアに特化した大会ではなく、アメリカやヨーロッパからの参加もありますし、南アフリカからの参加まであるという、本当に世界規模のコンテストです。そんなコンテストで日本人が2組も入賞したのは快挙です。映画の内容自体も素晴らしく、内向的な自分を奮い立たせ一生懸命アピールする姿や、自分のプライドよりもむしろ欠点をうまく利用して楽しんでもらおうとする姿を見ると、少年たちの強く育った心に頼もしさをも感じます。

原大樹さんは、日本での露出はあまり高くないので、或る番組での種明かし対決で初めて見た人も多かったと思います。残念ながら下品な印象を受けました。マジックキャッスルへの出演や、S.A.M. のステージコンテストでのグランプリ受賞など、海外では充分に認められるだけの活躍もしているのですが、日本においては尊敬されるマジシャンという印象を与えられなかったのが惜しいところです。今後の活躍次第ではありますが「ちやほやされて調子に乗ったマジシャン」という汚名を着せられないように祈るばかりです。個人的には、この映画の日本語版はタイトルが大げさすぎて陳腐な印象を受けたので、DVD を見もせずに悪い印象を持っていました。原題の「Make Believe」のままだったら、もっと早く見て紹介していただろうと思います。実力があるだけに、どうも勿体ない印象だけが残ります。

原 大樹
山上兄弟

(角川書店)

レビュー

なし