garamanのマジック研究室

Malini's Card Stabbing

「Card Stabbing」と呼ばれる作品にはいくつかのパターンがあります。ここでは Max Malini が演じていたものを取り上げます。"Blindfold Card Stubbing" と呼ばれることもあるようですが、同じ名前で別の印象の作品もあるので分類の難しいところです。しかし、Card Stabbing に「Max Maliniの」という前置きを付ければ、間違いなくこの作品を指しますので、当サイトでは Malini's Card Stabbing と題して分類します。

6人の観客に1枚ずつカードを覚えてもらい、デックに戻します。マジシャンは目隠しをした状態でテーブルに広げたカードをナイフで探り、観客のカードを1枚ずつ突き刺して当てていきます。

最後の観客の1枚を当てるときには、ナイフを強くテーブルに突き刺し、テーブルを傾けてカードを床にばら撒きます。残っているのはナイフでテーブルに留められている1枚のカード。それを確認すると最後の観客のカードなのです。


マックス・マリ二のカード・スタッビング

あそびの冒険 全5巻
「1 トランプ・マジック・スペシャル」p.175

この作品には特に決まった名前はない、と書かれています。古くは "ディバイディング・ロッド(占い棒)" と呼ばれていたこともあるそうです。手順解説だけではなく、こういった歴史的経緯や有名なエピソードなども添えられています。

原理は非常にシンプルで難しい技術も必要ありませんので、解説自体は短いです。理解も容易でしょう。しかし、その特異な演出による強いインパクトを再現することは非常に難しいです。テーブルにナイフを刺すという異常な行動を当たり前のように実演できるキャラクターの持ち主である、マックス・マリ二だからこその作品と言えるでしょう。(2023.03.19)

マリー二のカード・スタビング
〜 Malini's Card Stabbing 〜

カードマジック大事典
p.561

Stars Of Magic に掲載されている手順を、3枚の写真を添えて簡潔に解説しています。宮中氏が演技をしている様子を撮影した写真ですので、実際に演じているものと思われます。事典ですから手順解説は箇条書きの簡単なもので、内容は原案に忠実です。

6〜7人ほどの観客にカードを選んで覚えてもらい、それを1枚ずつ順番に手探りで当てた後、最後の1枚をドラマチックに当てて見せるという流れです。途中で5〜6人のカードを同じ方法で順番に当てていくというのは、現代の感覚ではさすがに冗長すぎるかと思います。当時はクライマックスへ向けて盛り上げる適切な回数だったのかもしれません。現代的な感覚に合わせて2〜3枚程度で済ませてクライマックスに移行するのは簡単ですが、逆にその回数でクライマックスを盛り上げるには工夫が必要かもしれません。(2023.03.26)

MALINI'S CARD STABBING

STARS OF MAGIC (日本語版)
p.198

Stars of Magic に、Dai Vernon による解説が収録されています。日本語版では写真が使えなかったようでイラストに変わっており、そのため誰が演じているのかが分かりませんが、原著を見るとダイ・バーノンが演じているのが分かります。日本語版の解説文はわかりにくい部分が散見されますので、カードマジック大事典の方を参照した方が良いと思います。内容はほぼ同じです。

原著の解説文の中には "Then, poising the knife daintily, he passed it over the three spreads, using it like a dividing rod." という一文があり、"ディバイディング・ロッド(占い棒)"というキーワードが出てきます。当時の趣を感じる解説文です。(2023.04.02)

差し込んで当てるカード①
〜 Card Stab 〜

カードマジック事典
p.157

Stars of Magic の手順をわかりやすく箇条書きにした解説です。さすがの文章力、簡潔です。1ページ強の文章で、イラストが1枚も無いにも関わらず、これだけわかりやすくまとめられるものかと感心します。実際の演技を見たことがあれば、この解説で充分にトリックがわかると思います。本の作りとしては前半に基本テクニックをまとめて解説してありますが、そちらを参照するようなテクニックは使用しません。(2023.04.08)