garamanのマジック研究室

知的な距離感

マジックと言うと、どうしてもトリック(いわゆるタネ)に目が行ってしまう人が多いようです。そんな傾向を指摘しようと「タネはマジックを構成するほんの一部に過ぎない」という趣旨の指摘をよく見かけます。その多くは「最も大切なのはマジシャンの個性や演出だ」と言い切ります。でも本当にそれだけでしょうか?何か大事な事を忘れていないでしょうか?イメージしてください。魅力的なマジシャンが斬新なトリックを用いてオリジナリティーの強い演技をしているところを。まだ足りないのです。大事な事が欠けてます。何が足りないのかがまだピンとこない方のために、この本はあります。マジックを構成する要素を最も大きく分類すれば、マジシャンと観客の2つです。タネの良し悪しや演出などその多くはマジシャン側に注目して考察されてきた結果です。もっともっと観客側の視点での考察が必要なのです。

そんな堅苦しい事をやんわりと伝えてくれるのが、前田氏流のレクチャーです。気楽に読める奥深い内容です。

前田知洋
かんき出版

レビュー

なし