garamanのマジック研究室

マジシャン殺人事件

人気マジシャン、”グレイト・ザガニーニ"。彼の得意の演目は、フーディーニ顔負けのスリリングな脱出マジックだ。その名も "死神の墓"。手錠をかけられたザガニーニは、丈夫な袋に入れられてさらに鍵を掛けられる。その上、木箱に閉じ込められた状態で、頭上から落ちてくる建築解体用の鉄球を待ち構える。合図とともに鉄球は落とされ、観客はバラバラになった木箱に視線を奪われる。その瞬間、スポットライトは劇場の通路に向けられ、そこには無傷のザガニーニの姿がある。いつもの公演のフィナーレとして、何百回と演じてきたこの演目。実はスタッフとのタイミング次第では命を落とす、本当に危険な技だった。ある日の公演で、ついにザガニーニをその悲劇が襲った。しかし、バラバラになった木箱の下から流れ出す血は、何者かの悪意によって流されたものだった。

著者のピーター・G・エンゲルマンは、元公認会計士でアマチュアマジシャンという経歴の持ち主。マジック部分には造詣が深いようです。さて、肝心の小説は。。。この小説、私は電車の中で読んでいたのですが、読み終わった時に「ん!?」とつい言葉が出てしまって恥ずかしい思いをしました。。。話の前半を埋めていた警察関係者たちも、法廷の場面に移ってからは全く登場しなくなり、そのキャラクターたちが後半どう絡んでくるのかと思ったら、登場しないまま終わってしまいます。前半、ダイジェストで良かったのでは?と思うくらいです。警察関係者が登場しなくなるくらいですから、真実を暴く人がいないわけです。というわけで、最後の3ページで犯人が自ら事の真相を喋る、という斬新な落とし方。

「こんな酷いミステリーないだろ。」と思ったものの、背表紙にある本の紹介文にはちゃんと「ミステリー問題作」と書かれていました。なんだ、正直じゃないですか。

Peter G. Engelman
真崎 義博
扶桑社ミステリー

レビュー

なし